トヨタの問題解決

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社内改革、組織改革、変革、企業再生についてよい記事をみつけました。


社内改革、組織改革、変革、企業再生(ターンアラウンド)
と言葉で言うのは簡単ですが、実際に行うのは、そんな生易しいものではありません。

コンサルティング
と響きはカッコいいですが、内実は、泥臭く、人間が激しくぶつかり合う世界です。戦場です。
本気で改革しようと思えば。

「業績の思わしくない会社は、経営層が社員の潜在能力を信頼していない場合が多い。
職場の人間には、自主的に仕事を変えていくような力はないと考えている。だから、ノルマを課して数字を上げろと尻を叩いたり、経営コンサルタントを導入して、上からの一方的な指導によって職場を変えようとする」

上からの押しつけではなく、職場は自力で変わらなくては意味がありません。

「カイゼンの最終的な目的は、会社全体を変えること」ですが、
「会社の変革の最終的なゴールイメージは、カイゼンの風土がしっかりと定着することにある。
そして、カイゼンの定着とは、カイゼンの考え方と方法論を職場全員が身につけることである」

そのためには、上からの押しつけでは、カイゼンは決して定着しないのです。

では、どのようにアプローチすればよいのか。
あるトレーナーは言います。

「トヨタにいるときもそうだったけれど、たとえば部下が、こういうカイゼンをしたいと言ってくるわけです。
僕らは経験があるから、それが成功するか失敗するか、だいたいわかります。
でも、間違いなく失敗することがわかっていても、それじゃあダメだとは言いません。
なぜ、それをやるの、なぜ、そのやり方をするのと、なぜを何度も重ねていって、何時間でも話をします。
そうやって、部下を否定せずに、なんとか僕の考えていることを部下に考えさせ、部下の口から出させるようにするのです。
部下が、自分で考えた方法が成功したと思ってくれれば、もっと自己啓発して、もっと頑張ろうという姿勢になるでしょう」

「職場の人間に成功体験を積ませ、主体性を育んでいくには、こうしたきわめてデリケートな対応が必要になるわけだ。

経験者の目から見てごく簡単にできるカイゼンであっても、それをストレートに口に出してやらせるだけでは人は育たない。カイゼンは人を育てることを念頭におきながら進めていくことが大切なのである」

コンサルタント(トレーナー)は、自分からすぐに問題解決の答えは言いません。
ファシリテイターとなってコーチングのスキルを使用して、自分たちで考えさせます。

コンサルタントは、タスクフォース(プロジェクトメンバー。社内から選抜された人たち)と一緒にカイゼンしていくわけですが、コンサルタントの重要な役割は、タスクフォースのメンバーを育てることです。

「ソリューション(コンサルティング)を導入するときによく言われるのですが、トヨタのものづくりのスペシャリストがふたりも来てカイゼンの指導をしてくれるんだから、現場はパッと変わるでしょう。と。そういうイメージを持っている経営者のほうが多い。
しかし、われわれは魔法の杖を持ってパーッと現場を変えてしまうわけではないんです。
うちのトレーナーが入ることによって、あくまでも、カイゼンのスキルを持った人材を育てることが目的なんです」

例えば、
あなたがコンサルタントとして、未知の業界・会社にコンサルティングするときや(周りの目は部外者のお前に何がわかるかといった疑心暗鬼の目)、
あなたが異動して新たな部署に着任したとき、あるいは、
あなたがトップとしてある会社を任されたとき(招聘されたとき、ヘッドハンティングされたとき)などに、
組織をよりよくするため、組織をカイゼンするため、組織を変革するためには、
まずは組織を把握しなくてはいけません。

最初のアプローチは、現場には必ずキーパースンが存在し、そのキーパースンを突き止めることから始めます。
キーパースンとは、職場の雰囲気やカルチャーを形づくっている中心人物で、年長者である場合が多いです。

そこで、例えば、
「まずパートタイマーの女性たちに接近します。正社員とは別の場所に集まって昼食をとっている輪の中に割り込んで、彼女たちの声を聴きます。案の定、現場に対するさまざまな不満を語り始めます。
トレーナーはあいづちを打ちながら、黙って聞くことに徹します。
そして、彼女たちの話からAさんがキーパースンであることに気づきます。
Aさんはタバコが好きなため、休憩時間には必ず喫煙ルームに入ります。トレーナーは、缶コーヒーをふたつ買って喫煙ルームに入っていくと、缶コーヒーを一本差し出しながら、なにげなくAさんに話しかけることを繰り返します。
当初Aさんは、まったく無愛想な反応しか示さなかったが、少しずつトレーナーに心を開くようになっていきました」

というように、
現場のコンサルティングとは、とても地道で人間臭いアプローチから始めていくのです。

◎インタビューを行う上でのポイント
・現場の人とラポール(信頼関係、仲良くなる)を築く
・受容的態度(こちらの価値観を押し付けないという考え方)をとる

※マーケティングは、人を理解することが基本にあって、そのための重要な方法がインタビュー。マーケティングというのは学問として学ぶマクロのレベルの考え方と、インタビューのような現場で培われたミクロな技術の両方が重要。

組織変革に関わる全ての人におススメします。

◎プロジェクト失敗の症状
1)妥協容認症候群
2)指示混乱症候群
3)先生依存症候群
4)証拠不十分症候群
5)連絡不足症候群

◎プロジェクト成功のポイント
1)リーダーを専任にする
2)リーダーやメンバーに「変化に前向き」な人材を選ぶ
3)関係部署のスタッフをメンバーに入れる
4)指揮命令系統を整備する
5)目標を明確にする
6)社内に積極的にプロジェクト情報を伝える
7)迅速な社内決裁を行える体制をつくる