オトトイキヤガレ
オトトイキヤガレ
2010年7月7日
おとといきやがれこのやろー。
この一言からすべては始まった。
僕の名はタケシ
東京の端くれに住んでいる一般的な理系大学生。
今日、寿司屋でアルバイトをしようと親父さんに頼んだら、茶髪が気に入らなかったのか怒られてしまった。
おとといきやがれ。
そんなことを言われてはたまったもんじゃない。
僕は負けず嫌い。
おとといに親父さんに会おうとその時、心に決意した
物理学、光学やタイムマシンについて、必死に研究し、大学4年間はあっという間に過ぎていった。
卒業後は宇宙開発系の企業に就職を決めるも定時に上がりタイムマシンの研究は毎日のような続いた。
それから60年後
ついに完成した。
「タケシ77号」
よし!!
旅立ちの時
何があってもわしゃ悔いはない。
あの一言が私の人生を変えてしまったのだからな。
このタイムマシンは
指定した日にちと
現在の記憶の一部をメモリーに入力する事で、タイムスリップ後の自分に一部の記憶を読み込むことができるというもの。
では…いくかな。
タァァァイムスリップゥ
スリッパを履いてタケシはこける。
2010年7月5日
すいません。ここで、アルバイトさせてください
なんだ、その髪は!?
寿司屋、そんな髪で務まると思ってんのか!!!
おとといき…
ちょっとまっったぁぁ!!だから、おとといきたんすよ。
僕は未来からこの面接を合格するために、わざわざ60年恋愛もしないで死に物狂いでタイムマシンの研究をして、今があるんです!!!
どれだけ辛かったのかを熱弁した。
お前さん、頭のほうは大丈夫なのかい。
そんな変なやつを使う事はワシにはできんよ。
泣きじゃくる僕。
こんなに泣いたのは生まれて以来初だろう。
ほ…ホントにやりたい…親父さん…
僕…寿司が握りたいんです…
親父さんのハートに訴えかけが通じたのか、親父さんの重い口が開いた。
しょうがねーな。
そしたら1ヶ月…
1ヶ月だけ面倒みてやらぁ!
1ヶ月で使えないようならクビだ!
それでもいいか?
…はい。
うれしいっす!
本当に本当に…
ありがとうございますっ!!!!!
涙が滝のように流れる。
男がそんなに泣くんじゃねーよ!!!
男が泣いていいのは両親、妻の死の3回だけだぜ!
じゃあ、明日から来るといい。妥協は許さないからな。
あと、明日までに髪の毛の色戻してきやがれ。
鼻水が伸びる伸びる
タケシの涙は止まらなかった。
それから2年、
挫けずにタケシは
寿司屋で仕込みやお節作り雑用などの仕事をし、ついにカウンターに立てるかの昇格試験にのぞんだ。
よし、じゃあアナゴ握ってみろ!!
はい!!
(緊張するー)
今までの苦労が走馬灯のように流れる。
辛かった。
長かった。
ついに今、僕の夢がかなおうとしている。
おい!お前!!
はい!!何でしょう!!
それはウナギだ!!
バカヤロー!!
2年もやってウナギとアナゴの区別がつかねーのか!?
お前に寿司握らせるには100年早いんだよー!!
…。
くそっ!!
みてろよ!オヤジ!
そのままお店を出て行ってしまうタケシ
100年後…
……
その後、姿をみたものはいない。
一瞬にかける男の美学。バカでこその人生もそれはそれでおもしろい。
ちょっと、前に浮かんだショートフィルムのアイデアをざっくり書いてみました。